「第7世代」という括りの誕生と意味
「お笑い第7世代」というワードが世間に広まったのは2019年頃のことだ。若くてスタイリッシュで、SNSやYouTubeに親和性が高い新世代の芸人たちが、テレビのバラエティ番組で一気に台頭した。霜降り明星・EXIT・四千頭身・ハナコ・かが屋・ぺこぱ・ゆりやんレトリィバァ——このあたりが第7世代の代表格として語られることが多い。
第7世代の最大の特徴は「テレビ・SNS・YouTube」の三方向で同時に勝負できる世代であったことだ。それ以前の芸人はテレビで売れることをまず目指したが、彼らは始めからSNSやYouTubeでのファンとの直接接続を当たり前のこととして受け入れていた。
主要メンバー、今どこへ?
霜降り明星:最も「売れた」第7世代の象徴
せいや・粗品のコンビは2018年M-1グランプリを史上最年少(当時)で制覇し、第7世代の先頭に立った。その後、せいやは持ち前のエネルギーと体を張るキャラクターでバラエティ番組のレギュラーを複数掛け持ち、粗品はギャンブル・競馬への深い造詣をオープンにしながら独自の個性を確立。お笑いコンビとしての活動を続けながら、それぞれが別の個性で認知される稀なケースとなっている。2025年時点でも両者の個人SNSのフォロワーは数百万規模を誇る。
EXIT:ネオ渋谷系ギャルお笑いのパイオニア
りんたろー。・兼近大樹のコンビは、ギャル文化を独自に再解釈した「チャラいキャラクター」でブレイク。りんたろー。はルックスを活かしてドラマ・映画にも出演し、芸人の枠を超えた活躍を見せる。兼近大樹は自身の過去や社会問題について書籍や発言で積極的に発信し、「芸人としての発言力」という面でも存在感を示している。お笑いコンビとしてはバラエティ出演を続けながら、個人としての活動の幅も広げている。
ぺこぱ:「否定しないツッコミ」で哲学的ポジションを確立
シュウペイ・松陰寺太勇のぺこぱは、「誰も傷つけないツッコミ」という革新的なスタイルで2019年M-1で注目を集めた。優勝こそ逃したものの、その後のテレビ露出は急増。特に松陰寺太勇は独自の言葉遣いと哲学的なキャラクターが「癒し系MC」として重宝され、情報番組からバラエティまで幅広い番組に出演するポジションを獲得した。
四千頭身:活動スタイルを再定義した異端児
後藤拓実・石橋遼大・都築拓紀の3人組は、「脱力系ボケ」という独自のスタイルで第7世代の中でも異彩を放った。テレビのレギュラーを意図的に抑えながらYouTubeやライブを活動の軸に据えたスタイルは、「芸人がテレビに出続けることが成功」という定義を揺るがした。熱狂的なコアファンの獲得という面では、他の第7世代と異なるアプローチを選んでいる。
ハナコ:キングオブコント優勝後の堅実な歩み
秋山寛貴・菊田竜大・岡部大の3人組は2018年キングオブコントで優勝。コントの精度を追求する職人的なスタイルで業界内での評価が高い。テレビ出演は多くないが、ライブでのクオリティは折り紙付き。「テレビ的な爆発力より舞台でのクオリティを優先する」という姿勢は、M-1・キングオブコントの優勝芸人に多い傾向だ。
ゆりやんレトリィバァ:ソロ女性芸人としての独自路線
ゆりやんレトリィバァは体を張ったキャラクターとバラエティ適性で人気を獲得しながら、英語での海外展開にも積極的に挑戦した。アメリカのコメディショーへの出演は、日本人芸人の新たなキャリアモデルを示す試みとして注目された。国内でも女優業に進出し、活動の幅を広げている。
第7世代後に来たもの
「第8世代」「第9世代」という言葉もメディアで使われるようになったが、現在は世代論よりも個人の個性が重視される時代になったとも言える。M-1グランプリで優勝した芸人が翌年には全国区になるサイクルが定着し、令和ロマンのように「M-1二連覇」という偉業を成し遂げる世代も現れた。バズりとブレイクの経路が多様化した分、芸人たちの活動スタイルも多様化している。
第7世代が芸能界に残したもの
第7世代が切り開いたのは、「テレビで売れる」以外のルートの正当化だ。YouTube・ライブ・SNSを活用した独自の活動スタイルは後輩芸人たちのロールモデルとなり、今や「テレビに出ていないから無名」という等式は崩れた。また、芸人が社会問題についてSNSで発言することへのハードルを下げたのも第7世代の功績と言える。次世代の芸人たちが第7世代のどんな部分を継承し、何を変えていくのかが、今後の日本お笑い界の見どころだ。