「地方出身」がキャラクターになる時代
かつて「芸能界で成功するには上京が必須」という暗黙の常識があった。しかし2010年代以降、地方出身であること・地方の言葉や文化を活かすことが芸能人の個性として積極的に評価されるようになった。「どこから来たか」が差別化要素になる時代へと変わっている。
大阪・吉本興業が生んだ関西弁の芸人たち
お笑い界では大阪出身者が圧倒的な存在感を持つ。ダウンタウン(兵庫出身)・明石家さんま(奈良出身)・ナインティナイン・千鳥・かまいたちなど、吉本興業所属の芸人の多くが関西出身だ。関西弁のテンポと笑いのセンスは「東京の笑い」とは異なるテイストをテレビにもたらし、視聴者に愛されてきた。千鳥のノブは広島弁、大悟は岡山弁を活かしたキャラクターで全国区の人気を獲得した。
東北・北陸出身タレントの活躍
福島県出身の武田砂鉄(ライター・ラジオパーソナリティ)、秋田出身のスギちゃん(「ワイルドだろ〜」で一時代を作ったお笑い芸人)、石川県出身の加賀まりこなど、東北・北陸出身の芸能人も多い。近年ではHoneyWorks・YOASOBI・Ado(東京出身だが地方文化との親和性が高い)など、音楽系クリエイターが全国規模でヒットを生み出している。
九州・沖縄のエンタメ気質
福岡は「第2の芸能人輩出地」として知られ、長渕剛・武田鉄矢・岩田剛典(三代目J SOUL BROTHERS)・武田玲奈など多くの芸能人を輩出している。沖縄は安室奈美恵・SPEED・DA PUMP・MAX・三浦大知など音楽系アーティストの宝庫で、沖縄アクターズスクールが生んだタレントたちは1990年代の音楽シーンを牽引した。
地方在住のまま活動するタレントの増加
コロナ禍以降、地方在住のまま東京の仕事をこなすタレントが増加した。リモート出演・オンライン収録技術の普及により、「上京しないと活動できない」という障壁が下がっている。地方ローカルテレビ局での活動を基盤にしながらSNSで全国区の知名度を獲得し、そこから全国ネットの仕事につながるルートも確立されつつある。
地方PRへの芸能人活用
地方自治体が観光PR大使として芸能人を起用するケースも増えている。地元出身のタレントが「ふるさとPR」として地元の魅力を発信し、インバウンド観光の促進に一役買う取り組みは全国各地で行われている。地元芸能人のSNSフォロワーを通じた情報拡散は、従来の広告費に比べて費用対効果が高いと評価されている。