「推し活」という言葉が生まれた背景

「推し活」という言葉は2010年代後半に定着した。アイドルやアニメキャラクターを「推す(応援する)」行為が趣味・ライフスタイルとして社会的に認知され、「推しのいる生活」が特定の人々のものではなく広く一般に受け入れられるようになった。2022年の「新語・流行語大賞」ノミネートも経て、今や「推し活」は日常語として定着している。

AKB48が変えたファンとアイドルの関係

AKB48の「会いに行けるアイドル」コンセプトは、日本のファンダム文化に革命をもたらした。握手会・選抜総選挙・劇場公演という仕組みが「応援することに参加感と達成感をもたらす」新しいファン体験を作り出した。CDの大量購入・握手会への通い詰めというファン行動は「過激」とも批判されたが、同時にファンの一体感と熱量を作り出すシステムとして機能した。

2.5次元文化のファンダム

「テニスの王子様」「刀剣乱舞」「ヘタリア」などの2.5次元舞台・ミュージカルのファンダムは女性ファンを中心に形成され、独自の応援文化を持つ。「うちわ・ペンライト文化」はアイドルのコンサートと同様で、「推しのキャラクター+俳優への応援」という複層的な応援形式が生まれた。

「推し活経済」の規模

矢野経済研究所によると、アイドル・アニメ・声優などのオタク市場は年間数千億円規模と推定されている。コンサートグッズ・写真集・ブルーレイ・配信イベントなど「応援にお金を使う」行動は、ファンにとって娯楽費ではなく「推しへの投資」として認識されている。コロナ禍でオンラインライブ・バーチャルイベントが普及したことで、地方在住のファンも参加しやすくなり市場が拡大した。

Vtuberと「バーチャル推し活」

バーチャルYouTuber(Vtuber)の登場はファンダム文化に新しい次元をもたらした。にじさんじ・ホロライブなどのVtuber事務所所属のタレントは、キャラクターとしての人格と声優(中の人)の魅力が融合した存在として強固なファンダムを形成している。Vtuberのスーパーチャット(投げ銭)収入は世界上位を日本人Vtuberが占める年も多く、バーチャル推し活の経済規模は無視できない大きさになっている。

海外のK-POPファンダムとの違い

日本の推し活文化とK-POPファンダムは相互に影響を与えながら発展してきた。K-POPファンの「サポートの組織力」(生放送投票の動員・バースデー広告の資金調達)は日本のファン文化に影響を与え、逆に日本の「現地参戦文化」(ライブ参加へのこだわり)はK-POP日本ファンにも広がった。