国際映画祭が示す日本映画の現在地
カンヌ・ベネチア・ベルリンの「世界三大映画祭」や、アカデミー賞(米)の国際長編映画賞は、日本映画の世界的評価を測るバロメーターだ。日本映画は高度経済成長期以降、定期的に国際映画祭で高い評価を受けてきたが、その評価される「作品の種類」は時代とともに変化している。
カンヌ映画祭での日本映画
是枝裕和監督は2018年に「万引き家族」でパルム・ドール(カンヌ最高賞)を受賞し、日本映画が世界的な評価を受ける存在であることを再証明した。2023年の「怪物」では脚本賞を受賞。是枝監督の作品に通底する「家族・社会の縁辺に生きる人々の物語」というテーマが世界の映画祭審査員の共感を得続けている。濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」(2021年)はカンヌ脚本賞に続き、アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した。
ベネチア映画祭と日本のベテラン作家
山田洋次・大林宣彦など日本のベテラン映画監督はベネチア映画祭での評価が高い。ベネチアは「芸術的映画」を評価する傾向があり、エンタメよりも作家性を前面に出した作品が選ばれやすい。2024年のベネチア映画祭でも日本映画が複数部門でノミネートされた。
ゴジラ-1.0:大衆映画の映画祭受賞
山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」(2023年公開)は、大衆エンタメ映画でありながらアカデミー賞の視覚効果賞を受賞するという前例のない快挙を達成した。これは「芸術映画」と「エンタメ映画」という二分法が崩れつつあることを示しており、日本の特撮・VFX技術が世界基準に達したことの証明でもある。
アジア映画の台頭と日本映画の相対的位置
韓国映画「パラサイト」(2020年アカデミー賞作品賞)・中国映画の世界展開など、アジア映画全体の国際映画祭での存在感が増している。日本映画は是枝・濱口ら個性派監督の作品が評価される一方、商業映画の国際展開は韓国映画に後れをとっているという指摘もある。日本映画が独自の強みを活かしながら国際市場でどう戦うかが今後の課題だ。