テレビのバラエティ番組においてMC(司会者)の役割は、時代とともに大きく変化してきた。昭和・平成期には「場を盛り上げる絶対的な仕切り役」が求められていたが、令和に入ってからはその定義が根本から問い直されている。SNSの普及、コンプライアンス意識の高まり、視聴者層の多様化など、複数の要因がMCのあり方を刷新しつつある。

令和型MCの特徴とは

かつてのバラエティMCといえば、明石家さんまや所ジョージのように圧倒的なトーク力でスタジオ全体を支配するスタイルが主流だった。しかし現在のテレビ制作現場では、そのような一強型の進行よりも、出演者全員の個性を引き出す「ファシリテーター型」のMCが増えている。

その代表格として注目されているのが、千鳥・ノブや霜降り明星・せいやといった若手から中堅にさしかかった芸人たちだ。彼らは鋭いツッコミや自身のキャラクターを前面に出しながらも、共演者のエピソードを丁寧に拾い上げるバランス感覚に優れている。視聴者がSNSで番組の「切り抜き」を楽しむ文化が定着した今、MCには「ウケる瞬間を量産する力」よりも「面白い人を面白く見せる力」が求められている。

コンプライアンスとMCの関係

コンプライアンス重視の風潮は、MCの言動に大きな制約をもたらしている。かつては笑いの定番だった外見や出自へのツッコミは今や禁じ手となり、MCは巧みな言い換えや予防線を張る技術を求められるようになった。この変化に対応できたMCは番組への信頼を得る一方、旧来のスタイルに固執したMCは「時代遅れ」との批判を受けるケースもある。

多様化する番組フォーマットとMC選考

近年はひな壇トーク番組に加え、ロケ企画やリアリティショーなど多様なフォーマットの番組が増加している。こうした番組ではスタジオ進行が得意なMCよりも、自ら体を張ってコンテンツを生み出せる「プレイングMC」が重宝されている。バナナマン・設楽統やさまぁ〜ず・三村マサカズのように、MCとしての実績と現場での柔軟性を兼ね備えた人材への需要は依然として高い。

女性MCの台頭と新たな流れ

令和のもう一つの大きな変化は、女性MCの存在感の増大だ。かつて女性は「アシスタント」としての役割を担うことが多かったが、現在は独自の番組を持つ女性MCも珍しくない。フワちゃんや EXIT・兼近大樹のような「ジェンダーにとらわれない個性」も歓迎される時代となり、MCの多様性は今後さらに広がると予想される。視聴率とSNSバズを両立できるMCが、令和の頂点に立つ存在になるだろう。